制作:Shirota

■ANシリーズ 導入編

MSI/S/Pに標準装備の一つANシリーズですが、これはいわゆるバーチャルアナログ音源、つまりアナログシンセをPCの演算能力を使い、その仕組みと動作をシミュレートしたものです。アナログシンセを模したものなので、アナログシンセの知識など多少必要ですが、うまく使うことができればサンプラーなどのPCM音源では出来ないような音色変化などが期待できます。
 ANシリーズは3つあり、
・AN-01M モノフォニック(単音)
・AN-01P ポリフォニック(和音演奏可能)
・AN-03 AN-01Pの発展系
というふうに用意されています。詳細な相違点はまた後述します。
今回は、基礎編、ということでやっていきましょう。

■仕組みというか構成

 アナログシンセを模したものとはいえ、現代のPCMシンセのほとんどはアナログシンセの発想の延長上にあるような感じなので、ある程度シンセの音色エディット経験があれば、それほど難しくはありません。大きな違いといえば、PCM音源は大本の音源としてサンプリングされた音データを使いますが、アナログシンセは電気的に信号を発生させているという違いです。つまり、サンプリング音の変わりにサイン波やノコギリ波を使用しているといってもいいでしょう。

ここでは 大きく5つに分けて進めていきます。
1.オシレータ
先ほど述べた『サンプリング音の変わり』という部分です。
2.AM、FM
それぞれAM、FMという方法で音色変化をもたらす部分です。
3.Amp、EG
音量変化に関する部分です。
4.Filter
フィルターと、さらにフィルター専用のエンベロープです。
5.Master
マスターチューンやマスター音量、ポルタメント、ピッチベンド変化量です。

■手っ取り早く知りたい人のために

まずは手早くANシリーズの真意を知るために、なるべく「素の状態」にしましょう。
素早く目的の音を作るためにも、素の状態から作るとやりやすいと思います。
標準の状態からフィルタのCのスイッチをOFFにし、Bの全てのSensという項目を中心にして下さい。
Sensとはベロシティで変化する度合いです。

次に、オシレータを見てみましょう。

オシレータ2のスイッチをオフにし、オシレータ1のW.A.で始まる2つの項目を中心値にして下さい。
この状態で、オシレータ1の「Wave」という項目をいろいろ変えてみたり、
あるいは音を鳴らしながらWarpという項目を動かしてみてください。
どうでしょう?音色変化は感じられましたか?
実は、オシレータ2も1と同じものなので、2つの音を重ねて作ることが出来ます。
ここまで分かれば、PCMシンセでのエディット経験がある方ならば大丈夫でしょう。

さて、気に入った音色になりましたら次へいってみましょう。

■オシレータでは出せない音色 AMとFM

AN-01M、AN-01P(以下AN-01*と呼びます)には、オシレータから出力された音を、さらに変化させることが出来ます。
AMは音量の変化、FMは周波数的な変化をもたらします。
どちらも、オシレータとは別に、ある波形を元にオシレータの音色に変化を与えます。

AMの方には、CC#0(モジュレーション)で変化させる項目(LFO Pitch)もあります。
FMの方は過激な変化をもたらしますので、スピーカの音量には十分注意してください。

a

■音量を決める

大抵のシンセではエンベロープと呼ばれる項目です。
鍵盤を押してから放されるまで(またはその少し後まで)の音量変化を決めます。
例えば、オルガンや管楽器、バイオリンであれば、音の出だしから鳴り終わりまでほぼ一定の音量です(意図的に変化させなければ)。
また、アコースティックギター、ピアノなどは、鳴り終わりは無限に音量が小さくなっていきます。
そういった音量変化をこの部分で決めます。

AN-01*では、Aplifierの項目で、
・鳴り始めの音量
・鳴り続けるときの音量
を決めます。そして、下段のEGで
・0(ゼロ)からAttack Levelまでかかる時間
・Attack LevelからSustain Levelへの時間
・鍵盤を離してから0(ゼロ)になるまでの時間
となります。それぞれ、Sense項目でヴェロシティで変化をつけることが出来ます。

■さらに音色変化と、全体的な設定

AN-01*にはLPFという、鳴っている音のうち低い方だけを通すフィルタが最終的な段で使うことが出来ます。
下の画像の左の列の一番上の項目(Filter Cutoff、Reso)で掛かり方を決められます。
(フィルタについては割愛させていただきます。適当に弄ってみてください(^^;)
その下はフィルタをエンベロープとして変化させる項目です。
また、LFOでもってフィルタを変化させる項目もあります。

また、マスター項目では最終的な音量、ポルタメントタイム、ピッチベンドでの変化量、
チューニングの項目があります。

■最後に

さて、MSI/S/P付属のAN-01*ですが、アナログシンセのお手本のようなつくりをしていますが、
項目が多く初心者には「どこをどうしたら…」となってしまいやすいと思います。
インターネット上には VSTiでもっとシンプルな構成の物もありますし、
またもっと高度なことができるもの、とことん出音にこだわったものなどがあります。
それでは、自分流の音作りを探してみてください。
(近日中にもう少し手直しします。)